灰まみれの映画感想帳

ネタバレありなのでお気をつけを。基本誉めることしかしません

「君の名は。」をみる、

f:id:haimamire:20160924172158j:plain 製作が発表された時から、PVが公開されるだいぶ前から楽しみにしていたのだけれど、公開日からしばらくは映画館がない島(実は種子島で、秒速5㎝やらロボティクスノーツなどの聖地巡礼をしてきた)に出かけていたせいで、世間が私の予想以上に「君の名は。」に盛り上がっているなか、私は見ることができず、悶々と過ごしていた。

 

予想以上の盛り上がりだった。新海誠といえばオタクの中では有名だけれども、一般で有名なわけではけっしてなかっただろうに。

それがカップルがこぞってみる映画として人気を博し、興行収入は100億円を超す勢いだそうだ。

声優が神木隆之介だからだろうか?確かにそれを聞いて私も興奮した。しかし、ZIPで特集される新海誠監督を見て、私は、そして、世のオタクたちは少しの寂しさを覚えたのに違いない。

 

しかし、映画の方向性がこれまでとまるっきり変わってしまったのかというと、そうではない。

映画の内容自体は言ってしまえば、オタクなら一度は想像したことはあるだろう。もし自分が女の子になったら?

そして持てない男子ならば妄想しただろう。どこかに自分のことが好きな女の子がいたら。しかも美人で。そしてその女の子と口げんかなんかしながらも、だんだん親しくなっていくのだ。

そんな男子の欲望に100%忠実な内容であり、それは今までの新海作品と変わらない。そう感じて私は安心した。

 

新海作品は男子の妄想を下敷きに描かれているだろう。

言の葉の庭なんかが顕著だと思うが、謎のお姉さんとの出会い、しかもお姉さんは都会的な美人で、実は、、、

だから君の名は。もこれまでの新海誠作品の延長線にある。

それは持ち味である緻密に書き込まれた美しい空や自然の背景を見てもわかるし、なにより前作の「言の葉の庭」の登場人物である古典教師、雪野先生が登場していることがよく示している。

しかし今作が今までとは異なっているのは大々的なラッドウィンプスのBGMや主題歌への起用と、オープニングの採用だ。

もともと監督自身がサウンドトラックへのこだわりを持っていたようだが、今回はまるでラッドのPVかと思うぐらいの登場ぶりだった。

私的にはは歌詞がある曲が映画の中に出てきて若干気になったが、映画にあっていなかったわけではないし、面白い試みだったと感じた。

驚いたのがオープニングだ。深夜アニメやドラマなら当たり前だが、映画でオープニングというのはあまり聞いたことがないのではなかろうか。

オープニングの作画監督のみキャラクターデザインの田中将賀氏らしいので、本編の作画監督が多忙でできなかったため、オープニングを作ることで田中氏の作画を実現させたのか。どういった意図があったのか私にはわからなかった知っている人がいたら教えてほしいのだが、オープニングは映画の世界観を観客にあらかじめインプットさせる、ある種PVのような役割を果たし、「これはこんな映画です」というのを最初に提示させることで、観客を物語により引き込む効果を持っていたと思う。

 

ここまでベラベラと書き連ねたが、「君の名は。」は新海誠の良さが十分に味わえた良作だったと思う。

次回作もこれまでの路線を引き継ぐのか、それとも冒険してみるのだろうか。

個人的には冒険してもらいたい気がする。次はがっつりSF ものとかどうでしょう?

バグダットカフェ

というわけで、今日見た映画の話をしましょう。(あらすじにネタバレ含みます。)

 

「バグダットカフェ」

 

西ドイツの古い映画ですね。

主人公は旅行先のラスベガスで旦那とけんかして、ハイウェイの途中で車から降りちゃったドイツ人女性のジャスミン

歩いてたどり着いた先は、アメリカ映画によく出てきそうな、汚いさびれたモーテルとカフェ。その名は「バグダットカフェ」

そこの女主人のブレンダはがみがみうるさくいつも不機嫌で、ほかの住人もなんか不思議なやつらばっかり。

雰囲気最悪のモーテルですが、ジャスミンはそこに滞在するうちに、やがてブレンダの家族やモーテルの居候と仲良くなりはじめ、ついにはあのブレンダとも打ち解けてしまう。

いつしかバグダットカフェはハイウェイを走るトラック運転手に評判のカフェになっていき、ジャスミンはカフェに欠かせない存在になっていくというストーリーです。

 

自分であらすじ書くとすごいありきたりだな。びっくり。

 

見ていて一番すごかったのが、序盤ではすごい太ってて裸のシーンとかあったら叫びだしちゃいそうな主人公のおばさんが、映画が進むにつれてだんだん魅力的に見えてくることです。

女優の魅力が監督の力によって開花させられていくというか、あれ?なんかジャスミンって実は美人じゃね?今まですんげぇ太ったただのおばさんだと思ってたけど、か、かわいくね?みたいな感じで、映画が終わるころにはメロメロです。

女優M・ゼーゲブレヒトの演技力と監督P・アドロンがいい感じにかみ合ってます。

 

女主人のブレンダは筋金入りのツンデレで、最初ものすごいツンツンというかツンツンツンツン×2ぐらいしていただけに、デレたときは感動ものです。分かってらっしゃる。

 

カメラワークは古さを感じさせましたが、何を強調したいというかどういう意図でやってるのか分かりやすくて、公開当時はこれは最先端だったのかな?慣れると心地よかったです。

 

あらすじのところで書いたようにストーリーの骨自体は今思うとありきたりなのですが、それを見ているときは感じさせず、かつ、登場人物を魅力的に描いた監督には脱帽です。

 

総じて、見る人を選ばない、いい映画といえるでしょう。ヤフーだと見る人を選ぶとか言われてたけど、これが選ぶならスターウォーズも見る人を選ぶわい。

 

あ、いろんなとこで言われてるけど、主題歌も最高です。

 

次はウェスアンダーソンの映画について書きたいな。