灰まみれの映画感想帳

ネタバレありなのでお気をつけを。基本誉めることしかしません

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」は2015公開のアメリカ映画です。あれー?地元だと2017年公開だったぞー?^ ^ まあ私は忙しくて映画館で見る機会がなく、TSUTAYAで借りたのですが、、、ちなみに原題はDemolition「解体」です。))

 監督はジャン=マルク・ヴァレ。「ダラスバイヤーズクラブ」の監督の人なんですね。いい映画だったんですが80年代という設定なのに日本の原宿のシーンがどう見ても現代で、その適当さがちょっとツボにはまった作品でした。

 デイヴィス役の主演はジェイク・ギレンホール。超イケメンで、そのイケメンっぷりがこの作品において爽やかな印象を与えているのですが、この人、アメリカの警察映画の傑作「エンド・オブ・ウォッチ」の主役を演じたとウィキペディアに書いてあり、まさかと思って見返したら確かにジェイクでした。いや、頭丸めてたから全然気づかなかった。

 そんなジェイクは今作で妻を交通事故で亡くした夫のデイヴィスを演じておりますが、この主人公が他の映画と異なるのは、妻を亡くしたのに「悲しくなかった」ということ。この設定(性格)が今作の物語の核となります。

 たった今、妻が死んだのに哀しみを感じない。それよりも病院のスナックの自販機の故障でチョコの袋がでてこなかったことが、奇妙に癇に障る。

「空腹でしたし、何よりもたった今妻が死んだばかりでしたし」

 妻の両親や周りは妻の突然の死を悲しみつつも、その出来事を受け止め、デイヴィスを慰めてくれるのですが、デイヴィスはその状況に適応できず、その気持ちを自販機の管理会社に苦情の手紙を書くことでぶつけます。

 その手紙を受け取った苦情係のカレン(ナオミ・ワッツ)はデイヴィスに謝罪と慰めの手紙を書くのですが、デイヴィスは手紙をくれたカレンをほとんど犯罪すれすれの(というか犯罪ですが)ストーカーまがいのことをして住所をつきとめ、カレンとその息子クリスと交流を持つようになります。

 デイヴィスは仕事(デイヴィスは妻のお父さんの会社で働いていました。投資会社?)をほっぽりなげてカレンの家に入り浸り、クリスと子供みたいに遊んでばかりいるので、初めはジェイクをやさしく慰めてくれていた義理の両親もだんだんデイヴィスに愛想をつかし始めます。

 そして妻の両親は、妻の名を冠した奨学金を設立することで、自分の娘を弔おうとするのですが、デイヴィスはそれに反発し会社のオフィスを破壊、周りなんか気になんねぇぜ!とばかりにイヤフォンで音楽ガンガン聴きながらオフィス街を歩きます。

 評価サイトだとここのシーン傑作だったという意見が多いようですね。でもジェイクがここまで自暴自棄になる理由が分からんと。

 自分の勝手な推測なんですが、周りに他人の気持ちを読み取るとか、状況に合わせた適切な行動をとるのが苦手な人っていませんか?デイヴィスも妻が死んだんだから悲しむべきなのは分かってるいる。でも突然で感情が追い付かないし、奨学金は何かが間違っている。妻を亡くした夫の「正しい」態度ってなんなんだ!

 この作品は、他者の死の悼み方、自分の感情との付き合い方についての作品です。デイヴィスのような自分の感情に不器用な人たちにとって一種の清涼剤のような感覚を味わえるのではないでしょうか、、、

 カレンの息子のクリスやカレン自身もいい味を出してるキャラなので紹介したいんですがあとはご自身でお確かめください。

 ちなみに私の好きなシーンは最後です。自分的2017年ベスト作品でした。

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